高齢者の住まいを快適にするためのバリアフリー化は、二世帯住宅建築において欠かせない重要なポイントです。この記事では、よくある高齢者の住宅改修事例を元に、二世帯住宅建築におけるバリアフリー化の重要性を解説します。
私は、理学療法士として、ご自宅でリハビリを行う「訪問リハビリ」の仕事をしています。
患者さんの身体能力に合わせて【住宅改修】の提案をしています。
手すりの設置や段差解消の方法を考え、ケアマネージャーさんや福祉用具業者さんに説明しています。
家族全員が安心して暮らせる【二世帯住宅づくり】をするには、高齢者の住宅改修事例を参考にし、バリアフリー化の重要性を理解することだと思ってます。二世帯住宅建築のバリアフリー化は建築前に知っておくべき情報です。
このブログを書いた人
- 理学療法士 回復期病院 訪問リハビリ14年 宅地建物取引士 建築・不動産営業10年
- 福祉住環境コーディネーター 住宅の環境調整のプロ
- 訪問リハビリでは数多くの介護環境を改善。私も二世帯住宅計画中
住宅改修事例から考える二世帯住宅の玄関
高齢者の住宅改修事例を見ると、玄関のバリアフリー化がどれほど大切な役割を果たすかが理解できます。スロープや手すりの設置によって、高齢者でも安心できる玄関の環境が整えられます。
これらのバリアフリー化により、高齢者の生活の質が向上し、安全な生活をサポートできます。
- 玄関框(かまち)でつまづき
- 靴の脱ぎ履きでバランスを崩す
- 濡れた床で滑って転倒
玄関だけでもこれだけの危険が潜んでいます。
玄関は高齢者が、転倒する場所ランキングで上位に入る場所です。
退院前の住宅改修では、転倒・転落を重点に住宅改修を行います。
二世帯住宅を設計する場合は、これから足腰が弱くなっていく親のために、玄関の環境は安全面に配慮した設計をしましょう。
- 玄関框(かまち)の段差を安全に昇り降りする事
- 靴の脱ぎ履きで転倒しない事
- 整理整頓する
- 玄関框の昇り降りのための手すり
- 靴を脱ぎ履きするための椅子
- 玄関の靴を下駄箱に収納する
- 滑らない床と整理整頓
高齢者住宅の玄関改修事例を見てみましょう
玄関框の段差を昇降するために、1段を2段にして上り下りすることがあります。
低い段差であれば足腰の弱い高齢者でも簡単に移動できます。
靴の脱ぎ履きは、椅子を使用することがあります。また玄関の整理整頓は、バランス能力が低下した高齢者には足を滑らす危険を防止できます。
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二世帯住宅のお出かけしやすい外構とアプローチ
玄関から道路までのアプローチ部分のバリアフリー化は、家族全員が安心して暮らせる住まいづくりに欠かせないポイントです。
- 段差でつまづく
- 地面の凹凸でバランスを崩す
- 濡れた地面で滑って転倒
- 暗い地面でつまづく
特に、「段差のないスムーズな玄関アプローチ」、「手すりの設置による安全性向上」は重要です。
玄関から道路までバリアフリー化することによって、買物・病院に行きやすくなるだけでなく、デイサービスの送迎や福祉用具の活用にも影響があります。
- 玄関から道路までの傾斜・段差
- 階段がある場合は、手すりの長さや高さ
- 照明や植木のバランス
階段は、手すりを設置することで移動しやすくなります。
しかし、設置すればよいわけでなく。動線を考慮する必要があります。
- 道路まで連続して使用できる手すり
- 最短ルートより安全ルート
- 夜間足元を照らす照明
- 玄関の靴を下駄箱に収納する
- 滑らない床と整理整頓
アプローチに手すりを設置することで、転倒防止になります。
手すりは最短距離に設置せず安全な経路に設置してください。通路の端に設置するのではなく、持ちやすい場所、通りやすい場所に設置することが重要です。
車椅子や歩行補助具を使用する高齢者にとって、段差や階段の移動は障害になります。
スロープを設計して段差を解消し、スムーズな移動にしましょう。
高齢者は、視力が低下しています。暗い場所は見えにくくなっています。
照明を設置してアプローチを明るくし、安全な通行を保つようにしましょう。
草木や雑草を整理することで、歩行スペースを確保し、足元の安定性を向上させます。
プランターや植木鉢は通路に置かないようにしてください。
バランスの悪い高齢者は「またぐ」「よける」「かわす」がないようにしましょう。
外構やアプローチの整備は、高齢者や体力の弱い家族の安全と快適な生活をサポートする重要な要素となります。安全性を重視して、バリアフリーな住環境を整えましょう。
寝室はベッド周囲の転倒に注意
一日の疲れを癒し、心地よい眠りを迎える寝室。しかし、ベッド周囲の安全性を見落としていませんか?
安らぎと安全性を両立させるために、寝室のベッド周りの注意点について解説します。
- ベッドから歩き始めの転倒
- コード類でのつまずき
- 衣類・紙での滑り
- 暗い部屋でつまづく
高齢者は、深夜にトイレに行きます。
寝返りの時の転倒リスク、寝起き時のつまづき防止策、ベッドの高さや配置など、さまざまな視点から寝室の安全性を見直し、快適な眠りと安心な暮らしを手に入れましょう。
- 深夜のフラツキは要注意
- ベッド周辺の床が滑りやすい
- 床の整理整頓
睡眠薬や睡眠導入剤を服薬している高齢者が、夜間の移動でフラフラすることがあります。
日中の様子と違いがないかどうか、歩く様子を見て確認してみましょう。
- 薬の影響でフラフラするなら手すりや杖を準備
- 滑らないようにベッド横にマット
- 夜間灯の利用・リモコン式照明の設置
- コードや衣類で転倒しないように整理整頓
二世帯住宅の設計段階で、高齢者の寝室の近くに、トイレを配置する間取りが理想的です。
移動距離を短くして、深夜のトイレ移動の負担を軽減します。トイレに行くことに介護が必要になったときは、介護負担も軽減できます。
薬の影響でフラフラするときは、ベッド横から手すりを設置することで、起床や就寝時の安全性を高めます。寝室内の必要な箇所に適切な高さの手すりを配置しましょう。
両親の身体が弱くなってきたら、布団からベッドに変更しましょう
畳が好きな方には畳ベッドがあります
夜間の寝室での移動をサポートするため、十分な照明を確保しましょう。
夜間灯・スイッチの位置の配慮・リモコン付き照明にすることで、安全性を向上させます。
寝室の床は滑り止め加工をする方法もあります。ラグや敷物も良いですが、厚みや高さに注意し、足元の安定性を確保しましょう。
トイレ介護の負担軽減が重要
二世帯住宅の設計段階で、高齢者の寝室の近くに、トイレを配置する間取りが理想的です。
移動距離を短くして、深夜のトイレ移動の負担を軽減します。
トイレの介護が必要になったときは、介護負担も軽減できます。
- 狭いトイレは介護負担増
- 出入りしにくいドア
- 正面のトイレは180度ターン
- 和式トイレはダメ・絶対に洋式トイレです
高齢者は、よく深夜に1~2回くらいトイレに行きます。
寝室の近くにトイレを配置して、快適な眠りと安心な暮らしを手に入れましょう。
- トイレ介護は24時間対応が必要
- 一人で利用できるトイレの設計
- 介護しやすいトイレの設計
二世帯住宅の設計では、リビングや各部屋にこだわりますが、介護を想定するとトイレの設計は同じくらい重要です。
- 介護するスペースがあるトイレ
- 出入口はフラットで引き戸がベスト
- 正面の便座より、90度ターンの便座
- センサーライトも使いやすい
トイレの介護は肉体的・精神的負担が大きいです。
トイレの広さ・間取り・手すり全てが重要です。
特にトイレの介護は、介護者の負担が大きくなります。
詳細に解説した記事を紹介します。
トイレに手洗い場を設ける際は、使いやすさと必要性を考慮します。
手洗いの設置により、トイレ内が狭くなるようであれば介護負担が増加します。
トイレには、ストックのトイレットペーパーや掃除道具など小物が増えます。
収納スペースも確保しましょう。
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シャワーor入浴で難易度が変わります
高齢の両親に配慮したバリアフリーな浴室の整備は、両親のQOL向上に繋がる重要な提案ポイントとなります。ここでは、浴室のバリアフリー化に注目し、高齢の両親が快適で安心して利用できる浴室づくりのポイントを詳しく解説します。
毎日、風呂に入りたいけど、一人じゃダメって言われて
- 狭い洗い場は介護負担が増える
- 深い浴槽は、湯船に入れない
- 万が一に備えて、ドアの形状にも注意
段差を減らし、つまづきや滑りによる転倒を防止することが、高齢者にとって入浴がしやすい空間を作ります。
浴室内には手すりを設置して安全性を高めます。浴槽やシャワーの近くに適切な高さで手すりを配置することで、入浴時の安定感を提供します。
- 入浴は難易度高い、シャワー浴は難易度低い
- 浴槽でつかるには、またぎ動作としゃがみ動作
- 入浴を助ける、たくさんの福祉用具がある
二世帯住宅の設計では、介護を想定するとトイレの設計は同じくらい重要です。
- 介護するスペースがある洗い場
- 立ち座り、浴槽の出入りに手すりを設置
- 福祉用具はカビ対策して
- 入浴用にリフトを想定すると浴槽は規格品で
お風呂にはいる動作は、リハビリでも難しい動作です。
よく使用する福祉用具は、
- シャワーチェアー
- 浴槽内台
- 滑り止めマットです。
今回紹介した浴室用福祉用具
今回紹介した福祉用具は、介護保険でレンタルできる「バスリフト」、レンタルできない「シャワーチェアー」「浴槽内台」「滑り止めマット」があります。
使用を検討する際は、ケアマネージャーさんにご相談ください。
これ以外にも、ヒートショック対策も重要です。
このほか、福祉用具の使い方や入浴について知りたい方は、問い合わせからご相談ください。
理学療法士の視点で、福祉用具の紹介や選定、介助方法の提案をさせていただきます。
Q&A
Q1: バリアフリー対策を二世帯住宅のどの部分に取り入れると、介護負担の軽減に特に効果がありますか?
浴室やトイレでは、高齢者や体力の弱い方が日常的に利用する場所であり、バリアフリーの設計が入浴やトイレ利用の安全性や快適性を向上させます。
Q2: 二世帯住宅をバリアフリー化するには、施主側もバリアフリーに対する知識や勉強が必要ですか?
施主側のバリアフリーに対する知識や勉強が住宅のバリアフリー化に大きくかかわります。二世帯住宅で両親の介護が必要になったときに、介護負担軽減になります。手すりや段差の解消が転倒の防止につながり、介護の予防の効果もあります。
両親と一緒に住む「二世帯住宅のプラン」一度見てみたい
まとめ
二世帯住宅建築には、バリアフリー対策と介護負担の軽減が欠かせません。適切な対策を取ることで、高齢者や体力の弱い家族の安全性と快適性が向上し、共同生活が円滑になります。
- 玄関は、段差を低くする工夫と手すりの設置
- 外構アプローチは、転倒防止の地面のバリアフリー
- 寝室は、ベッドサイドの転倒予防と夜間トイレ
- 浴室は、目的に合わせた福祉用具の選定
理学療法士として、高齢者が住む住宅の環境設定をしている中で、最も重要視することは「安全性」です。
二世帯住宅では、両親が転倒による怪我に、注意しなければなりません。
日ごろから、コード類や床の荷物を整理することは、転倒予防も第一歩です。
バリアフリー対策と介護負担軽減は、二世帯住宅の共同生活において大きな役割を果たします。家族の健康や安全を考慮したバリアフリー設計や手すりの設置、高齢者や体力の弱い家族が快適に過ごすために不可欠です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
このブログでは、二世帯住宅を建築する方に向けた情報発信を行っています。
また、理学療法士の視点から、親の介護の負担を軽減する方法を紹介しています。
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